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鹿児島フィールドレポート  噴火に!雪… 厳しい環境でも生きる霧島のキュウシュウジカ

みなさんこんにちは!平川動物ウォッチング隊員の落合です。今回のズーブログでは、霧島の厳しい環境においてもたくましく暮らすキュウシュウジカを紹介したいと思います。

 

春から秋までは下草もあり、シカにとっては過ごしやす環境です

 

霧島は、鹿児島県と宮崎県の境に位置する山々の総称で、最高峰の韓国岳(1700m)や高千穂峰(1574m)などの火山で構成されています。火山帯なので温泉が豊富に湧き出し、湯けむりも様々な場所で見ることができます。この霧島の活火山で代表的なのは新燃岳で、昨年の10月にも10月11日に6年ぶりの噴火が確認されました。10月14日には噴煙が2300mにも達し、周囲には大量の降灰がありました。生き物たちがどのように暮らしているか、状況を確認すべく現地に向かいました。降灰が酷い場所は、まるで白黒写真のようで、辺り一面灰色の世界でした。草木には灰が降り積もり、エサとして利用している生き物には、大変厳しい状況でした。この辺りに生息しているキュウシュウジカの気配はないものの、火山灰の影響が少ない場所では数頭が休息しているのを確認でき、場所を移動しながら懸命に生きていることが伺えました。幸いにも、火山活動は安定しており、数週間後には普段通りの山の姿に戻っていました。

 

雲がかかっていて見えませんが新燃岳の方向を撮影しました。手前の木々は火山灰で覆われています。

 

地面も灰で覆われ、泥あそびでもしたようなぬかるみがありました。

 

下流の川は、降灰後の雨で川に灰が流入し、清流だった川が泥水であふれていました。

 

 

しかし厳しい環境は、冬の訪れとともに再来します。標高が高い霧島では、冬季に南国鹿児島でも降雪が見られます。1月の寒波には積雪が40㎝近くまであり、一面が銀世界となりました。雪の中、シカたちはどうのように暮らしているのでしょうか?普段から彼らをよく観察できる場所を、雪をかき分け探しに行きました。2時間近く歩いた後、枯れたススキの近くで、岩のような物体が動くのを目にしました。近づくと首を上げてこちらの様子をうかがってきます。5~6頭のメスの群れが、乏しいエサを食べている最中でした。枯れた葉以外にも、木の新芽や樹皮などを食べていた形跡があります。寒い冬でも懸命に生きている様子を伺うことができ、生き物が持つ生きるためのエネルギーや貪欲さを感じることができました。

 

冬の時期は、一面雪景色になることも珍しくありません。後方にあるのが韓国岳です。

 

シカの姿は見えなくても、あちこちで足跡や糞を見つけることができます。

 

遠くのススキ林で、動く物体を確認!

 

雪の中でも乏しいエサを探して懸命に暮らしていました!

 

親子と思われるメスのシカが、こちらを見つめていました。最近では希少な植物も食べてしまう厄介者として扱われていますが、冬を乗り切るのは至難の業です。力尽きた個体を見ることもあります…

 

まだまだ春は遠いですが、霧島の生き物たちは、日々の暮らしを懸命に生きています。南国鹿児島の穏やかな雰囲気とは正反対ですが、鹿児島にお越しの際には冬ならではの自然をご覧いただければと思います。

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