鹿児島フィールドレポート ~鹿児島県北部に生息するカスミサンショウウオ~
みなさんこんにちは!平川動物ウォッチング隊員の落合です。今回のズーブログでは、鹿児島県北部に生息するカスミサンショウウオを紹介したいと思います。
みなさんが一般的にイメージするサンショウウオとはどういった生き物でしょうか?きっと、とても大きなオオサンショウウオをイメージされる方が多いと思います。このオオサンショウウオは本州中部以西、四国と大分県の一部にしか生息しておらず、鹿児島県には分布していません。

こちらは体長1mを超える世界最大の両生類 「オオサンショウウオ」
鹿児島にはいません!
では、このカスミサンショウウオとはどういった生き物なのかというと…
大きさは約10㎝程度で、ぬめっとした体表をもつトカゲのような形をしています。しかし、トカゲとは異なり、幼生の期間を水中で生活する両生類に分類されます。(トカゲは、は虫類です)
鹿児島県北部はカスミサンショウウオの分布の南限で、県の絶滅危惧Ⅱ類に指定されており、地域個体群として学術的にも貴重な生き物です。

ぬめっとした体表が特徴です!
カスミサンショウウオは里山の湿地や水辺に生息しているのですが、普段は落ち葉や石の下に隠れており、探し出すのはかなり困難です。しかし、1~3月の繁殖期になると水辺の産卵場所に集まる習性があるので、産卵場所に目星をつけて探すと見つけることができます。とはいっても夜行性で昼間は隠れているので、夜の観察が理想なのですが、ある物に着目すれば昼間でも出会うチャンスが増えます。いったい何に着目すればいいかというと…卵です!

コイル状の卵塊が特徴です!

よーくみてみると、卵の中でスクスク成長しています!

こちらは同じ水辺で産卵していたアカガエルの卵塊
カスミサンショウウオのとは形が異なります
カスミサンショウウオの卵の塊は特徴的な形をしており、同じ時期に産卵するカエルの仲間と比較しても、一目瞭然で区別できます。卵が見つかれば、近くでオスが守っているかもしれません。
(探すときには脅かさずにそーとのぞいてね!)

卵塊をまもるオス個体の様子
とても特徴的な形をしており、よーく見てみるとかわいらしい小さな生き物ですが、生息場所が里山の湿地と水辺付近なので、宅地開発や道路建設、用水路のコンクリート化で生息数の減少が危惧されています。実際に生息場所を見てみると、とても局所的でちょっとした開発で、すぐに減少してしまうことが想像できます。小さくてなかなか注目されていない生き物だけに、人知れずいなくなってしまう可能性もあります。鹿児島にもこのような愛らしいカスミサンショウウオが生息していることを知っていただき、身近な環境にも注目していただければと思います。

このような湿地がカスミサンショウウオの生息にはとても重要なのです!