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平川動物園ズーブログ

鹿児島フィールドレポート ~鹿児島県の山間に暮らすベッコウサンショウウオ~

みなさんこんにちは!平川動物ウォッチング隊員の落合です。今回のズーブログでは、鹿児島県山間に生息するベッコウサンショウウオを紹介したいと思います。2016年1月に長年調査を続けている鹿児島県立博物館の現地調査に同行することができましたので、少し紹介したいと思います。

 

このベッコウサンショウウオはどういった生き物なのかというと…

大きさは約10~15㎝程度で、ぬめっとした体表をもつトカゲのような形をしています。しかしトカゲとは異なり、幼生の期間を水中で生活する両生類に分類されます。(トカゲはは虫類です)

本種は熊本、宮崎、鹿児島県にのみ分布し、鹿児島県が分布の南限で、県の希少野生動植物(絶滅危惧Ⅱ類)に指定されています。分布の南限である鹿児島県の個体群は学術的にも非常に貴重な生き物です。

 

ぬるっとしたトカゲのように見えますが、これがベッコウサンショウウオ(幼体)です!

ぬるっとしたトカゲのように見えますが、これがベッコウサンショウウオ(幼体)です!

 

では一体どういった場所に生息しているかというと、標高500m以上の山間部で、川の源流部のみに生息が確認されています。訪れた場所も非常に山深く、四輪駆動の車でやっとこさたどり着くことができるような場所です。常に水が流れている源流部は、冷たい水が枯れることなく湧き出している場所で、貴重な生き物をたたえる神秘的な雰囲気がありました。そこにはスギなどの人工林はなく、広葉樹の森が広がり、山の懐の深さを感じることもできました。

 

広葉樹の山深い森が生息には必要です

広葉樹の山深い森が生息には必要です

 

枯れることがない源流部が生息場所となります

枯れることがない源流部が生息場所となります

 

この源流部でサンショウウオを探してみると…、何やら岩の下を俊敏に動き去るものを何度か見かけました。はじめは「何かの魚かな?」と思っていたのですが、じーっとしている個体を発見し、観察してみるとベッコウサンショウウオの幼体でした!まだ、外鰓が残っており上陸する成体までにはもう少し時間がかかる個体でしたが、本種の特徴であるべっ甲模様がうっすらと体に描かれていました。

 

よーく見ると鰓がまだ残っています。成体では消失している部分です。

よーく見ると鰓がまだ残っています。成体では消失している部分です。

 

 

サンショウウオ以外にも、川の中の落ち葉や石の下には、エサになるヨコエビや水生昆虫がたくさんいました。こういった生き物がサンショウウオの生存を下支えしています。また川の周辺にはシカの糞もたくさん確認できました。豊かな山が様々な生き物を支えており、人里から離れた山の自然豊かな環境に改めて敬意を払いたいと感じました。

 

キュウシュウジカの糞もたくさんあり、鳴き声も近くで聞こえました。

キュウシュウジカの糞もたくさんあり、鳴き声も近くで聞こえました。

 

実際に生息場所を見てみると、とても局所的でちょっとした開発で、すぐに減少してしまうことが想像できます。小さくてなかなか注目されていない生き物だけに、人知れずいなくなってしまう可能性もあります。鹿児島にもこのような神秘的なベッコウサンショウウオが生息していることを、知っていただき、いつまでも生き続けられる環境を守っていくことを意識していただければ幸いです!

 

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