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平川動物園ズーブログ

世界でここだけ アマミノクロウサギの保護収容をしています

みなさんこんにちは!平川動物ウォッチング隊員の落合です。当園では、県内希少種の保護や域外保全活動を実施しています。その一環で、奄美大島と徳之島に生息する国の特別天然記念物「アマミノクロウサギ」の保護収容も行っています。現在3頭のクロウサギが当園の動物病院で飼育されており、定期的に検診を実施し、健康状態のチェックや必要な治療を行っています。非公開ですが少しだけ様子などを紹介したいと思います。

 

 

以前収容していたオスのネセブ。保護収容後に野生復帰しました!

 

まず毎日の管理ですが、採食がしっかりできているか、排便が見られているかを朝一番で確認します。夜行性のため、夜に採食排便を行いますが、動物園での生活に慣れてきたせいか、日中にも動いている様子も確認ができます。ただし、すべては把握できないので、飼育員の感と経験を生かして夜の様子を想像しています。

 

朝の飼育場所の様子。糞の状態と残ったエサのチェックを行います

 

そして体重測定を行っています。野生個体を毎日、体重を計測することは不可能です。クロウサギの基本的な情報として非常に意義のあるデータとなります。幼獣から成獣までの体重推移や季節変化など、初めての知見も得ることができました。

 

かごに入れて体重測定。毎日のことなので、ずいぶん慣れています

 

日中は基本的に寝箱に入って休んでおり、姿を見ることはできません。ただ何もしていないわけではなく、ウサギの仲間で見られる食糞行動をしていることがわかっています。これは、柔らかい盲腸便を排出し、腸内細菌が作り出したアミノ酸やビタミン類を摂取するという行動です。うんちを食べることが、生きることに非常に重要になっているのです。

夕方の薄暗い時間になると、寝箱から出てきて活動を開始します。うんちをしたり、エサを食べたりとのんびりしています。ただ人の気配を感じるとすぐに隠れてしまい、人に慣れることはあまりありません。

 

また月に1回は定期検診を実施しています。ケガを負って収容されたウサギですので、すべての個体に定期的に必要な処置があります。顎がずれた個体は、伸び続ける歯のトリミング、骨の変形などを把握するためのレントゲンは必須です。それ以外にも健康状態を把握するための採血も実施します。

 

月に1度は定期検診を実施します。このタイミングで隅々までチェックします

 

交通事故で顎がずれてしまったメスのテツコ。毎月きれいに切っていますが、このようにまた伸びてきます…

 

まだまだ解明されていないアマミノクロウサギについて、日常の飼育から得られる知見を少しでも集積しようと飼育担当者、獣医師が管理しています。非公開ではありますが、年に1~2回ほどは特別公開も実施していますので、その際はなかなかじっくり観察できない本種を間近で観察してもらえればと思います。地元鹿児島を代表し、世界的にも希少な本種の飼育記録ができることは大変貴重であり、今後も得られた情報を少しでも発信できればと思います。

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