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平川動物園ズーブログ

鹿児島フィールドレポート 鹿児島のサル    ~ニホンザルの暮らしに注目~

みなさんこんにちは!平川動物ウォッチング隊員の落合です。今回のズーブログでは、鹿児島県本土に生息するニホンザルについて紹介したいと思います。

 

鹿児島県には2亜種のニホンザルが生息しています。本土に生息するホンドザルと、屋久島に生息するヤクジマザルです。この2亜種は体毛や体格で少し違いがありますが、見た目はおなじみのニホンザルです。今回は本土に生息するホンドザルについての紹介です。

 

日なたで休憩中のホンドザル

 

こちらはヤクシマザル。小柄で毛が長いのが特徴ですが、見た目はほとんど一緒です

 

昔ばなしや歌の中でもおなじみのニホンザルですが、野生のサルをじっくり観察したことがある人は、あまりいないのではないでしょうか?北海道を除く各地に生息するサルですが、森林やその周辺部が主な生息場所のため、街中で見る機会はあまりないと思います。鹿児島でも山が迫る集落や地域に行かなければ、出会えない存在です。

群れで暮らすサルたちは、社会性が強く、個体間で様々なコミュニケーションをとっています。母親と子どもの関係や、幼い子どもたちが遊ぶ様子、上下関係の誇示や群れから外れそうな若いオスたちなど、様々な姿を見ることができます。

 

人が住んでいない住居の屋根で遊ぶ子ザルたち

 

春の田んぼに生えている草を食べるサルの群れ

 

私たち人間と同様の霊長目に分類され、非常に賢い彼らは、人間の生活圏にも侵入してくることがあります。典型的なのが田畑の農作物を食べるという行動です。いわゆる鳥獣被害です。
イノシシやシカほどではないですが、地域によっては多大な被害が出ています。フェンスで囲っても、隙間を見つけたり、上部から侵入したりしますので、対策には多大な費用と労力を必要とします。

 

ネットで囲っていても、隙間をさがして侵入してきたりもします…

 

特に高齢化や人口流失した農村地域は被害が顕著となる傾向が強く、放棄されたり管理が行き届かない場所は、サルにとって非常に暮らしやすい場所に変化します。もちろん大部分が森林の生産物(実や葉など)に依存していますが、簡単に手に入る農作物は彼らにとって非常に魅力的な食べ物となっています。春は田んぼのレンゲソウやタケノコ、秋から冬はカキやミカン、ダイコンなどと四季を通じて旬の食べ物を探しています。

栗をほおばる母ザル
近くに人がいてもあまり逃げようとしません

 

こちらは庭先の柿を拝借したサル。安全な場所で食べています

 

サルに食べられ大根は無残な姿に… 典型的なサルの食害です。

 

農家さんや地域の方には嫌われる存在で、群れの構成や行動を把握した上で管理していく必要があります。やみくもに駆除しても、群れが分裂する可能性や移動範囲が大きく変わる可能性があり、根本的な解決につながらないことがあるといわれています。追い払う、そして侵入させないことで、本来の生活場所であった山に帰ってもらうことが理想的といえるでしょうが、現実はなかなか難しいことが、観察しているとよくわかります。

一筋縄ではいかないサルとの関係ですが、サルが暮らせる環境は森の豊かさを示しているとも言えます。木の実を食べ、新芽をほおばる姿は今も昔も変わらない姿であり、後世にも伝えていくべきものです。山でサルに出会った際には、エサなどあたえずに、十分に距離をとって一度観察していただけると、彼らの素晴らしく楽しそうな社会を見ることができると思いますよ。

風格あるオスザル
あたりを警戒しています!凛々しいたたずまいです

 

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