クロツラヘラサギってどんな鳥?

こんにちは!

シマウマ、ツル担当の江川です。

今回は「クロツラヘラサギ」を紹介したいと思います。

最近平川動物公園に仲間入りした、ユニークな鳥です。

「サギ」と名前についていますが、種類でいうとトキの仲間です。

昔に使われていた、白くて美しいものを表す「(さや)(さや)か」という言葉から「清(さや)(さや)けし」→「サギ」という変化をしていったといわれています。名前の由来としては諸説ありますが、実際に白くてきれいな鳥なので、個人的には好きな説の1つです。

「黒い顔((つら))をしたヘラのようなくちばしの白くて美しい鳥」

という見た目を表した名前となっています。

正面からみると本当に不思議な形のくちばしをしています

サギの仲間とトキの仲間では飛ぶ体勢に大きな違いがあります。

サギは飛ぶときに首を折りたたんで飛ぶのに対して、トキは首を伸ばしたまま飛びます。

平川動物公園で飼育しているショウジョウトキも飛ぶときは首を伸ばして飛んでいます。

同じような体の構造でも、違いがあるのはとても面白いですよね。

ダイサギの飛んでいる姿
クロツラヘラサギの飛んでいる姿

そんなクロツラヘラサギは、野生では東アジアにのみ生息していて、季節によって渡りを行います。

夏は朝鮮半島やロシアなどで繁殖と子育てを行い、冬は日本や台湾などに渡ってきて厳しい冬を乗り越えるといった、国をまたいで生活する鳥です。

日本には冬に見られるので、渡り鳥の区分でいうと「冬鳥」です。(夏に見られるのは「夏鳥」、春秋に日本に立ち寄るのが「旅鳥」と呼ばれています)

2025年の調査によると、生息数は7081羽、そのうち716羽が日本で見られています。日本では主に九州で見られ、鹿児島県では98羽確認されています。(公益財団法人日本野鳥の会:クロツラヘラサギ世界一斉センサス集計結果より)

ため池で餌を探しているところに遭遇 実は1羽だけヘラサギという鳥も混じっています

そんなクロツラヘラサギですが、特に目を引くのが特徴的な形をしたくちばしです。

なぜこんな形になったのか不思議ですよね。

鳥のくちばしは餌に関係していることが多く、クロツラヘラサギもこのくちばしを活かしたユニークな食事をします。

まず水にくちばしを突っ込み、そのまま左右に首を振りながら進み、くちばしに当たった魚類や甲殻類などを捕まえます。

このくちばしを水につけて左右に首をフリフリしながら歩く姿はとてもかわいらしく(私の超主観です)、見ていてとても癒されます(個人差あり)。

くちばしを水につけながら餌を追いかけている姿がかわいいんです

そんな食事をするからこそ大事なのが浅い水場です。

鹿児島県では田んぼや調整池、干潟や波打ち際で餌を探しているところをよく見ます。

水深が深すぎると餌に逃げられてしまうため、逃げ場の少なくてくちばしを振りやすい浅い水深を好みます。

冬鳥だが、鹿児島では田植えの時期まで見られることがある

このような浅い水場はクロツラヘラサギだけではなく、多くの生き物にとって重要な場所です。

汚れを食べてくれる小さな生き物の住処になったり、大きい生き物の子ども時期の過ごす場所になったり、環境を整えてくれる効果もあります。

巡り巡って、私たち人間の遊ぶ場所がきれいだったり、おいしい食べ物を食べることができたりするのも、こういった湿地があるおかげです。

ヨシがたくさん生えていて隠れる場所が多い湿地は、生き物が集まってくる

平川動物公園では4羽のクロツラヘラサギが来園し、フライングケージで展示を行っています。

最近ではショウジョウトキと一緒に行動しているようですが、これからどんな行動を見せてくれるのか楽しみです。

ぜひ探してじっくり観察してみてくださいね。

フライングケージ来園者通路からのクロツラヘラサギとショウジョウトキ

休みはだいたい野鳥写真を撮りに行っている入社2年目:江川

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