こんにちは。クマ担当です。
9月も終わりに近づいてきましたが、まだまだ暑い日が続いていますね。
今回は、当園のクマたちがこの夏をどのように過ごしてきたのか、飼育環境の工夫や、そこから見られた行動の変化についてご紹介します。
私たち飼育スタッフは、日頃から「担当する動物たちのアニマルウェルフェアを最優先にすること」を大切にしながら、日々の飼育管理を行っています。
その取り組みのひとつとして、今年の夏は初めて、ツキノワグマとヒグマの暑さ対策として、展示場と寝室を自由に行き来できる環境をつくりました。
これまでは、展示場に出た後は収容するまで寝室に戻れないようにしていました。
そこで今年は、日中、展示場と寝室の間の扉を開放し、クマたちがその時々の状況に応じて過ごす場所を選べるようにしました。
寝室にはAmazonほしい物リストで頂いた冷風機を設置しているため、暑い時間帯には涼しい寝室で過ごすこともできます。一方で、展示場で活動することもできます。

このように、動物自身が環境の中から行動を選択できることは、アニマルウェルフェアを考えるうえで大切な要素のひとつです。
動物が自分で行動を選択できることを「選択(choice)」、その選択によって自分の置かれている環境を調整できることを「コントロール(control)」といいます。
今回の取り組みによって、クマたちが自ら過ごす場所を選択できる機会を増やしました。

ハズバンダリートレーニングにも変化が
この環境を整えたことで、いくつかの変化が見られました。
そのひとつが、ハズバンダリートレーニングに取り組める時間が増えたことです。
ハズバンダリートレーニングとは、動物の健康管理や診療などを安全かつ動物への負担を最小限に行うために、必要な行動を動物と協力しながら身につけていく取り組みです。
これまでは、展示場で過ごしている時間との兼ね合いもあり、健康管理に必要なトレーニングの時間を十分に確保することが難しい場面もありました。
しかし、寝室と展示場を自由に行き来できるようになったことで、寝室で過ごしている時間を活用して、トレーニングを行えるようになりました。
現在では、
- ターゲット(鼻先を棒につける)
- 開口(口の中を確認するために口を開ける)
といった行動ができるようになっています。
これらの行動ができるようになることで、今後の健康チェックや治療などを、できるだけ動物への負担を抑えながら行うことにつながります。
これからも、クマたちの様子をよく観察しながら、無理のない範囲で安全にハズバンダリートレーニングを続けていきたいと思います。(目標はトレーニング下での採血!)

ナズナに見られた「謎の行動」
そして、もうひとつ興味深い変化がありました。
ヒグマのナズナに、これまで見たことのなかった行動が見られるようになったのです。
それは、展示場にある石や草を寝室に持ち帰ること。

展示場で拾った石や草をくわえて寝室へ運んでいく姿が見られるようになりました。
(はい、お掃除は大変です……が、新しい行動がみられるようになって嬉しさの方が勝っています。)
なぜこの行動が増えたのか、その理由を断定することはできません。
ただ、展示場と寝室を自由に行き来できるようになったことで、ナズナが自分の行動を選択できる機会が増え、その結果として、これまで展示場でしか見られなかった行動や、物を運ぶといった新たな行動が観察されるようになった可能性があります。
動物が自ら選択して行動できる環境を整えることで、これまで気づかなかった行動が見られるようになることがあります。
こうした行動の変化を観察することも、動物たちのアニマルウェルフェアを考えるうえで大切な手がかりになります。
これからも、クマたちの行動を観察していきます
今回の取り組みを通して、環境のちょっとした変化によって、クマたちの行動にもさまざまな変化が見られることを改めて感じました。
私たち飼育スタッフにとっても、「こんな行動をするんだ!」という新しい発見があります。
これからも、クマたちの行動をよく観察しながら、より良い飼育環境をつくるために、できることを考えていきたいと思います。
また、新しい取り組みに挑戦することで、来園者の皆さまにも、クマたちの新たな魅力や行動を知っていただく機会が増えればと思っています。
最後に、皆さまへお願いです
クマたちが涼しい寝室で過ごしている時間帯は、展示場から姿が見えにくくなることがあります。
せっかく楽しみにご来園いただいた皆さまに、クマたちの姿をお見せできないこともあり、私たちとしても心苦しく感じる場面があります。
しかし、暑い時期にクマたちが過ごしやすい環境を選択できるようにすることも、健康管理やアニマルウェルフェアを考えるうえで大切なことです。
もし展示場にクマたちの姿が見えないときには、
「今は涼しい寝室で休んでいるのかな?」
「ハズバンダリートレーニングをしているのかな?」
「ナズナはまた何か持って帰っているかな?」
など、クマたちがどのように過ごしているのか想像しながら、温かく見守っていただけましたら幸いです。
これからも、世界のクマゾーンの応援をよろしくお願いいたします。
ぜひ、ツキノワグマのイツキとアイ、そしてヒグマのナズナに会いに来てください~!
クマ担当者

アイ

イツキ

