6月10日、名古屋市東山動植物園からメスのコアラがやってきました。2019年12月22日生まれで1歳半と若いコアラです。
名前は「インディコ」で、オーストラリア先住民の言葉では「月」という意味だそうです。
(インディゴ:染料の藍、ではありません…)
インディコは空路鹿児島空港に到着し、車で平川動物公園に運ばれました。スタッフがさっそく輸送用ケージの扉を開けます。
コアラが安心できるよう、つかまるための木と餌のユーカリが中には入れてあります。
インディコを輸送用ケージから外に出し、まずは体重を量ります。
体重を知っておくことは、今後の健康管理に役立ちます。コアラは木につかまった状態だと落ち着くので、体重計の上にもつかまるための木が設置してあります。
続いて獣医師による聴診、触診、体温測定です。
体を簡単には触らせてくれない動物も多い中、コアラは割とスムーズに行うことができます。
非公開エリアにある寝室に移され、一安心です。
しばらくは健康状態を詳細にわたり調べ、並行して新しい環境に慣れてもらう期間となります。問題なし、と判断されたため、6月25日から旧コアラ館の展示場にお目見えしました。
インディコは名古屋で生まれましたが、お父さんは平川動物公園から貸し出されている「イシン」です。お父さんの故郷に娘が引っ越してきたのです。
ところで、
「動物園は野生の動物を捕まえてきて飼っている所」
と誤解されている方が結構いらっしゃいます。
動物の生息環境が失われつつある今日では、野生の動物を捕獲して売買することや飼育することに関して、国際条約や国内法により多くの規制があります。ですから、捕まえた動物を動物園で飼う、ということは今の時代まずありません。
動物園には
「動物を守り、育て、増やす」
役割があります。動物園どうしが協力して、共同繁殖に取り組むために動物を貸したり借りたりすることを「ブリーディングローン」といいます。
インディコのお父さん「イシン」はブリーディングローンにより名古屋市東山動植物園に移動し、契約に基づいて娘のインディコが来園したというわけです。
コアラだけでなく、平川動物公園でくらす動物たちの多くは全国各地の動物園で生まれています。
もちろん平川動物公園で生まれた動物もたくさんいます。
動物たちの出身地について調べてみると、新たな発見があるかもしれません。
園長 福守