鹿児島フィールドレポート ~ 実りの秋到来! ニホンザルたちも山の恩恵にあずかる ~

みなさんこんにちは!平川動物ウォッチング隊員の落合です。今回のズーブログでは、鹿児島県本土に生息するニホンザル(ホンドザル)の秋の様子について紹介したいと思います。鹿児島県には県本土にはホンドザルが、屋久島にはヤクザルが生息しています。鹿児島市内にも時折、数頭が街中に出没してニュースになりますが、群れの生息場所は森林帯になります。地域ごとに大小の群れがいくつか確認されており、基本的には縄張りが大きく変動することはなく、縄張り内で季節ごとに移動しているような感じがします。

クリをほおばるメスザル

移動する理由はいくつかありますが、主な目的はエサの確保です。春は新芽やタケノコ、夏と冬は民家近くの畑や家庭菜園にも依存することがあります。秋のこの時期には、ドングリやクリなどの木の実、カキやアケビなどの果実が最高のごちそうになります。

スダジイ(ドングリができる木)を食べる子ザルたち

サルを探すには、このような木がある場所を重点的にまわっていきます。また採食した跡があれば近くいる可能性もあります。道路上をよく見れば、おしっこやウンチも見つかるかもしれません。あとは、鳴き声が聞こえてくればしめたもので、人影をあまり見せないように探します。

サルが食べたあとのイガグリ

今年は昨年に比べクリもカキもたくさん実っています。カキの場合は渋柿でも熟していれば甘みがでるので、一口かじってから時期がくるまで待っています。クリの場合も同様で、美味しくなるまで待っています。よくあるのが、「そろそろ収穫しようかな~」 と思っていたら、サルに全部食べられてしまう… 悲惨ですがサルの必死さが勝っているのでしょう。

大事そうにイガグリを抱えています。痛くないのかな?

サルは賢い動物ですので、縄張り内でどこにエサがあるか把握しています。集落近くにあるクリやカキの木は、必要であれば電気柵等で囲い食べさせないのが鉄則です。最近では集落の人口が流出し、空き家も目立ってきています。収穫しないのであれば、誘引する木は伐採するように勧められています。

民家の上でもおかまいなし
口を使ってクリを取り出します

鹿児島県内でも、サルの行動圏を調査している地域もあり、特性が解明されてきています。しかし、観察していて感じるのが、ちょっとしたことで行動のパターンが変わることがあるということです。追い払いや建材確保の森林伐採などの影響だと思います。

サルたちが安心して暮らすことができ、人への被害も最小限になるような、森と集落の関係構築が必要になってきており、観察を続けていると一筋縄ではいかない問題だなと感じています。

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