鹿児島には多くの固有種(または固有亜種)が生息しており、その一部を園内で見ることができます。今回はその中で二つご紹介します。
平川動物公園では4種類のシカを飼育しています。
この中で もっとも小柄なのがマゲシカです。これは鹿児島県の小さな無人島、馬毛島(まげしま)に生息するシカで、ニホンジカの亜種のひとつです。
亜種とは、同じ動物種であっても、生息地域によって異なる体の大きさや毛の色などにより、さらに細かく区別するときに用いられる分類の仕方です。
例えば、ニホンジカは北海道にいるエゾシカなど、地域によって7つの亜種に分けられています。鹿児島県には県本土のキュウシュウジカ、屋久島のヤクシカ、そしてこのマゲシカと3亜種がくらしています。
このマゲシカ、どこの動物園でもいるわけではありません。意外にも平川動物公園でしか飼育されていないのです。来園される多くの方々は
「シカだ! 次もシカ またシカ…」
と、あまり興味を示さないまま通り過ぎて行かれます。
実にもったいないですね。
ほかの動物園にはいない鹿児島ならではの動物なので、じっくり観てもらいたいものです。
続いて、鹿児島県の県鳥であるルリカケスです。4カ月ほど展示が途絶えていましたが、11月22日に上野動物園から新たなペアが来園しました。
ルリカケスは鹿児島県の奄美大島、加計呂麻島、請島、枝手久島だけに生息し、国の天然記念物に指定されています。平川動物公園では1982年に日本初の飼育下での繁殖に成功しています。
県の鳥でありながら、なかなか目にする機会がない鳥ではないでしょうか。新たな環境にも徐々に慣れてきたようです。
このほかにもエラブオオコウモリやヤクシマザルなど、「鹿児島ならでは」の動物たちがいますので、注目してみてはいかがでしょうか?
園長 福守