いのちはつながる ~バンブラとブンダのこどもたち~

みなさんこんにちは!平川動物ウォッチング隊員の落合です。
今回のズーブログでは、昨シーズンのコアラの繁殖についてお話したいと思います。

毎年、国内飼育園や当園のコアラ飼育状況を考慮して繁殖の大まかな計画を立てます。
昨シーズンは、繁殖適齢期のメスが多く、施設の拡張も重なったことから、5頭のメスが交尾から出産、育児と無事にこなしてくれました。

ユイと赤ちゃん
初めての子育てを無事にこなしています!

コアラはメスで2才前後、オスが3才前後で発情が見られ始めます。メスは4才までに子育てを経験させることが望ましいと言われており、この点も考慮しています。

そして血統もとても大事です。国内のコアラ飼育頭数は60頭弱です。著しく少ないわけでもないため、血縁がない個体同士で繁殖を進め、国内のコアラ群で将来的に繁殖に貢献できる血統を残すことも視野にいれています。

コアラ界のビッグダディ!
ブンダ。貫禄十分です

当園ではオーストラリアから導入した創始個体(国内に血縁関係がない個体)のオスが2頭いました。ブンダとバンブラです。ブンダは過去の繁殖の功績もあり、多くの血縁個体がいました。そこで比較的血統が少ないバンブラを中心に繁殖を進めることにしました。

6月に亡くなったバンブラ
7頭の子どもを残してくれました

メスの発情が強くなる2月中旬以降からペアリングをはじめます。まずはヒマワリとブンダ、次にイト、ユイ、ユメ、ジェインの4頭とバンブラを交尾させることにしました。

ブンダは体格もよく、交尾行動への動きもとてもスムーズで特に心配はいりません。一方、バンブラは内気な性格もあってか、メスへのアプローチにムラがあります。担当者が介添えしながら、交尾をこなすこともしばしばあります。そんなバンブラですが、順調にイト、ユイ、ユメとは交尾をしてくれました。残るジェインとの交尾の際には、ジェインがやや強引に誘ったためか、うまくいきませんでした。

ジェインの発情があまりにも強く、春のシーズン終盤の発情ともあったので、このタイミングを逃すのは惜しいと考え、予定を変更しブンダと交配させました。

交尾の様子
オスがメスの背中に覆いかぶさり行います

昨シーズンはこのようなスケジュールで無事にペアリングが終了。メスの出産が確認でき、嚢仔の動きも把握できるようになりました。

担当者は細心の注意を払って子育てをサポートしていきました。

出産から約4~5か月で、赤ちゃんの体の一部が袋外に出ているのも確認でき、順次袋から出る「出袋(しゅったい)」が9~1月にかけて続きました。

ヒマワリの袋から赤ちゃんの一部が見えています
袋から出てきてしばらくは、母親にべったりです

5頭もの赤ちゃんが無事に成育しており、とても喜ばしく感じています。

それにバンブラは6月に逝去してしまったので、次世代に繋ぐ命をたくさん残してもらい、本当に感謝しています。

赤ちゃんの性格はまだわかりづらいですが、落ち着いたバンブラのように物怖じしない性格に育ってくれるでしょう。

飼育員の仕事をしていると、命の繋がりやバトンリレーといつも対峙しています。動物園が種の保存や保護の場であることから、彼らの生涯に責任を持って「いのち」の繋がりを尊いものとして、伝えていければと感じています。

イトと子どものライト(オス) 
バンブラのような、落ち着いたオスに成長することでしょう!

コアラ館で脈々と繋がる命のバトンリレーと生き様に、思いをはせていただければコアラの違った一面を感じ取れるのではないでしょうか?

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