アシカの赤ちゃんミコ part2

こんにちは!
肉食獣担当の伊藤です!
前回『アシカの赤ちゃんミコpart1』を更新しました。
皆さん読んで頂けたでしょうか?
前回はミコを人工哺育に切り替えたところまでご紹介しました。
この続きのpart2を書いていきます!

一方そのころ母親のミュウはというと、ミコがいなくなり1週間経っても出産・育児をしていた洞穴に居座りミコを探すような行動が見られていました。さすがに掃除をしなければと思いミュウがいない隙に洞穴に入ったところ衝撃的な光景が広がっていました!

なんと地面一帯に母乳が出た跡があったのです!
母乳が出ていないと思っていましたがしっかり出ているようです!

これはミコに飲まさないともったいない!とミコをミュウの元へ返すことにしました。
しかしすぐに返す訳にはいきません。まずは格子越しで顔合わせをしてお互いが覚えているかを確認することにしました。

車でアシカ展示場にミコを連れていくとお父さんであるコウスケの大きな声を聞いてミコも大きな声を上げました。その声を聞いたミュウがさらに大きな声で鳴きミコを呼んでいました。

いざ顔合わせを行うとミュウは大きな声を出しながらも、敵意はなくミコのにおいを確認していました。ミコもミュウをお母さんと認識しているようで、ミュウの鳴き声に応えるように鳴いていました。これならミコを返しても問題なさそうです。

この日は顔合わせだけで終了して、プールの清掃などミコを返す準備を整えました。

顔合わせの様子。お互いちゃんと覚えているようでした。

人工哺育に切り替えて12日後の6月2日の朝、ミコをミュウの元へ返しました。

親子の久々の再会を果たしたミュウとミコは30分程興奮したように大きな声で鳴いた後に、巣穴である洞穴に入って授乳をしていました。とりあえず一安心です。

朝の時点での体重が7㎏でこれを基準にして様子を見ていきます。

母乳が出ているのを確認できてはいますがしっかり飲める確証がないため、人工哺育時に与えていたミルクの半分の量を継続して与えることにしました。

6月2日の夕方、ミコを返して初めてのミルクタイムです。給餌の際はプールに出てきていたミュウですが、さすがに当日は洞穴に残りミコを守っている様子でした。

しかしこちらもミルクを与えたい。洞穴前でミコを呼ぶと近づいてきたので、ミュウに魚を投げて気をそらしつつミルクを与えてみました。

ミュウは飼育係に対して攻撃する素振りは見せませんでしたが、さすがにミコに近づかれるのが嫌なのかミルクを与えている最中にミコを洞穴の中に引っ張り込んでしまいました。ミルクはあまり飲めませんでしたがミコを守る気持ちが強いということで当日はこれで良しとしました。

ミュウの目の前での哺乳。この後ミコを引き込みました。

2日目の朝からはミュウはミコを洞穴に残し魚を食べにプールに出てくるようになりました。その隙に体重測定とミルクを与えます。

体重は朝6.85㎏、夕方6.45㎏でだいぶ減っていました。この結果から、やはり母乳を飲めていないor十分な量が出ていないと判断し人工哺育時と同じ量のミルクをこちらで与えることにしました。

ミュウがいない隙にキーパー通路に連れ出して哺乳。

育児はミュウ担当。ミルクは飼育係が担当。と分業してミコを育てていくことを介添え哺育と言います。

介添え哺育はお母さんのミュウの協力が不可欠です。ミコを返した初日は警戒していたミュウでしたが、数日経つとミコに悪いことをしているわけではないと理解してくれたのかこちらがミコに近づいてもあまり警戒しなくなりました。

慣れてきたのか一人行動が増えてきてミュウから離れていることが度々ありました

ミコはミルクを完全にこちらで与えるようになってからぐんぐんと成長していき、7月10日現在で12㎏まで体重が増えました。力もつきプールで上手に泳いでいる姿も確認しています。

今でもミュウの乳首に吸い付くミコの姿をよく見ます。この刺激で母乳がたくさん出てくれれば良いなと思っています。

ミュウと一緒に洞穴で休んでます
岩山で大人たちに魚をあげつつミルクを与えています。
ミルクを飲み終わった後の満足げな一枚。

ミコが生まれて2か月が経ちます。順調?に育ってくれています。離乳までまだ半年以上ありますが精一杯ミュウのサポートをしてきたいです。

皆様も動物園にお越しの際はミコの成長を温かく見守っていただけたらなと思います。
長文になってしまいました。読んでいただきありがとうございました。

最近夏バテ気味の肉食獣担当 伊藤

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