シカの秋 (前編)

急に涼しくなり、鹿児島にも本格的な秋が訪れました。
秋と言えばスポーツの秋、読書の秋、食欲の秋…いろいろありますね。
私にとって「秋」で連想する動物はシカです。平川動物公園では4種類のシカを飼育していますが、いずれも この時期に繁殖期を迎えます。

ところで、オスのシカだけに角があること、シカの角は毎年生えかわることをご存知ですか?

春に角が抜け落ちた後、「袋角」と呼ばれる皮膚に覆われた角が伸び始めます。それは木の芽が膨らみ、枝を伸ばす様子によく似ています。

初夏の袋角

夏の終わりから秋にかけ、シカの角を覆っていた皮膚が剥がれ落ち、白くて硬い角となります。
マゲシカは全て白い完成形の角になっていますが、その隣のハナジカでは様々な過程が見られます。

まだ袋角のハナジカ

ハナジカの袋角は淡い色をしています

袋角の皮膚が剥がれ初め、角に血液が滲んでいるハナジカ

袋角の皮膚が剥がれ始めています

立派な角になったハナジカ

完成した角の先は鋭いです

シカたちにとって秋は繁殖期です。オスの角が秋に立派になるのは、メスをめぐって争う時の武器になるからです。この時期には気性が荒くなるので、飼育担当者にとっても気が抜けない日が続きます。

園長 福守

奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞くときぞ 秋は

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