9月になりましたが、しばらくは残暑が続きそうですね。
「暑いのにかわいそう」
気温が高い日にペンギンの前でよく聞かれる言葉です。
平川動物公園で飼育されているペンギンはフンボルトペンギンで、南アメリカのペルーからチリにかけての温帯域に生息するペンギンです。
南半球なので季節は日本と逆でも、気候的には極端に異ならない環境でくらしています。平川動物公園にいる個体はほとんどが国内の動物園や水族館で生まれており(1羽だけイギリス生まれ)、日本の気候に十分慣れているので、多くの方が心配するほど暑さの影響は深刻ではないと考えられます。
ペンギンと言えば南極を連想する方もいることでしょう。ペンギンの仲間は世界中に19種(17種~19種と諸説あります)いて、南極だけで繁殖するのはその中の2種だけです。その他は亜南極圏から赤道直下のガラパゴス諸島まで南半球の広い範囲にくらしています。
かつて(20年ぐらい前)私はペンギンの飼育に携わったことがあります。その頃から「暑いのにかわいそう」という言葉を何回聞いたか分かりません。
そのたびに時間が許す範囲で
「このペンギンは温帯のペンギンです」
などと説明してきました。しかし、一度社会に浸透した固定観念はそうそう簡単には変わらないようです。テレビで見る昭和基地の映像などが影響していそうですが、「ペンギン=南極の鳥」のイメージがどのような過程を経て形成されたのか気になるところです。
園長 福守