暦の上では夏になりましたが、この春、新生活のため引っ越しをされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
動物園の動物たちの引っ越しシーズンは主に春と秋に集中します。極端に暑かったり寒かったりすると、動物への負担が大きくなりますので、気候のいい時期に行うのです。
なぜ動物たちは動物園から動物園へ引っ越しすることがあるのでしょうか?
どの動物もいつかは老齢になって、または病気などにより死を迎えます。動物がいなくなれば、新たに同じ動物種を導入することがあります。
また、順調に繁殖が進むと飼育スペースが足りなくなったり、血統的に適切な組み合わせでの繁殖が難しくなることがあります。これらの理由で動物たちの引っ越しがあるというわけです。
少し前に平川動物公園にダチョウのメスが新たに1羽やってきて、アカカンガルー、アビシニアコロブス(オナガザル科の霊長類の1種)などを送りだしました。その様子をご覧ください。
まずはダチョウです。普通の荷物は吊り上げた時に勝手に動くことはありませんが、生き物だと何があるか分かりません。動物輸送専門業者のベテランスタッフが輸送箱ごと慎重に降ろします。
平川から送りだすアビシニアコロブスは、サル舎でケージに入れ、それを二人がかりで運びます。
アビシニアコロブスが入っているケージ
輸送用のケージは安全に引っ越しできるよう、動物種に合わせて工夫します。写真を見ると窮屈そうに感じられるかもしれませんが、あまりに広くて中が明るいケージだと、車両の揺れなどに驚いた時に激しく動いてケガをする原因になります。広すぎず、薄暗い方が移動中も落ち着いてすごせる場合が多いです。
空腹に備え、道中の食べ物も飼育担当者が準備しました。
今回はほかにもオシドリ、プレーリードッグも平川動物公園を後にしました。スタッフたちは無事の到着を願い、見送ります。
新たに仲間入りしたダチョウのメスは、空き家となっていた旧ラクダ舎ですごしており、アフリカ園に仲間とデビューできるよう訓練中です。徐々に新たな環境に慣れてきました。
平川動物公園には、県外の動物園から引っ越してきた動物も多数暮らしています。動物舎に掲示されている個体紹介の「出生地」に注目すると、新たな発見があるかもしれません。
園長 福守