戦々恐々…冬のユーカリ調達 ~コアラ飼育員の胃の痛いに日々~

みなさんこんにちは!平川動物ウォッチング隊員の落合です。コアラ担当は、ほぼ毎日ユーカリ畑で採取業務を行っています。温暖な鹿児島はユーカリ栽培に適した場所ではありますが、冬はやっぱり寒い… 特に今年は夏の暑さとは正反対で寒い日が多かったです。平川動物公園周辺でも3回の降雪があり、畑が零下になった日も数回ありました。冬でも19頭のコアラたちは毎日ユーカリを食べますので、約100kgの枝葉を調達する必要があります。今回は、イメージがしにくいと思う冬のユーカリ調達について紹介したいと思います。

毎日体重の5%ほどのユーカリを食べますが、新芽と好みの葉を食べるので、なるべくたくさんの枝葉を与えます。

温暖な鹿児島でも、冷害によりコアラが好むユーカリの新芽は枯れてしまいます。少しぐらいなら許容範囲ですが、全ての葉が枯れると死活問題になります。そこで、少しでも良いエサを確保するために、より温暖な地域で冬用のユーカリを栽培しています。

台風で傾いたユーカリに追い打ちをかける雪 なんとも悲しくなる光景です…

鹿児島市内より南の指宿市や肝付町の内之浦地区、そして離島の種子島です。遠方にあるため、管理は委託で地元の業者さんにお願いしていますが、指宿の圃場は自ら管理することもあります。

ただ、これらの畑だけだとまかないきれないので、近隣の畑でも採取を継続しています。

降雪もきついですが、強烈な霜のほうが被害が大きいことがあります。

木を痛めすぎないように、負担をかけすぎないようにノコギリとはさみで採取しています。あまりに激しい剪定を繰り返すと、枯れてしまうので慎重に行っています。

品種や木の状態、樹齢も考慮し、何より天候も気にします。数日内に寒波がくるようなら、大きな剪定は控えます。これは切り口から水分が少なからず出てしまい、凍ることがありそれにより樹皮が傷つくことがあるからです。

台風シーズンもそうですが、12月から3月は天気予報を非常に気にしています。

「明日から寒くなるから、枯れる前に採取をすまそう」や「寒波に強い畑は後回しにして、保険としてとっておこう」など担当者間で話会い、採取予定を組みます。

霜や降雪で新芽が枯れたユーカリ。このようなユーカリが多くなります。

雪の重みで垂れ下がった枝 このような木が散見されるので復旧にも労力がかかります。

毎年のことなので、計画的に機械的にスムーズに調達ができればいいのですが、木は生き物で、それの生育を左右するのは天候です。ベースとなるユーカリの本数や圃場の数は、計算上は足りていても、職人技のような感覚で管理をしないと、一気にコアラ飼育がうまく回らなくなる可能性があります。まだ葉っぱがあるように見えて、採取できそうに見えるユーカリもありますが、将来を見据えて切らないようにしてるのです。(私もコアラ担当ではないとき、一見して十分な量のユーカリがあると思っていました…)

飼育頭数にリンクしたユーカリの本数、そして安全圏となるように+αの本数が必要で、毎年補植と圃場の拡張が必要になります。ただ、最近はいろいろ課題が出てきました。

夏の異常な暑さのせいで、低温に強いユーカリが弱ってしまう状況が散見されてきています。過去から継続してきた管理スケジュールも変わってきており、品種の選定や木の管理方法も見直す必要性を感じています。

一口にユーカリ管理といっても、このような手間と労力、費用がかかりそうなのはイメージできましたでしょうか?

今回紹介した問題などに取り組むため、昨年末よりクラウドファンディング型のふるさと納税をお願いしておりました。2回目の今回は、目標金額の1000万円を達成することができました。皆様のご協力のおかげで、より良い状態でコアラたちを飼育し、素晴らしい姿をご覧いただけるように努力していきますので、今後ともご支援と応援をお願いいたします。

なんだかんだいっても、鹿児島のユーカリは大好物のようです!
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