動物の分類(仲間分け)は、住所や地名の表記に例えられることがあります。
地球>アジア>日本>九州>鹿児島県>鹿児島市>平川町
世界は広いですが、このように平川動物公園が位置する所が徐々に絞り込まれます。
これと似たような感じで
動物界>脊椎動物門>哺乳綱>霊長目>ヒト科>ヒト属>ヒト
と私たちは生物学的に位置づけられます。
ちなみにチンパンジーやオランウータンはヒト科なので、分類上ヒトとかなり近いことが分かります。
(生物学では種名をカタカナ表記するので、ここでは「人」や「人間」ではなく「ヒト」と表記しています)
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動物園では「シロサイ」「ベニイロフラミンゴ」など、動物の名称が書かれた看板(種名サインと呼んでます)があります。そこに書かれた「シロサイ」は生物学的に表現すると種(しゅ)としての標準和名です。細かく言うと種はさらに亜種に分けることができます。シロサイは生息地域によりキタシロサイとミナミシロサイに分類されます。平川動物公園で飼育しているのはシロサイの亜種、ミナミシロサイです。
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この標準和名や分類上の位置付けは、時代とともに変更されることがあります。
例えば、最新の研究成果により「亜種と考えられていたものが別の種と判明した」などの理由によるものです。
動物種名に差別的表現が含まれるために変更された例もありました。
動物園の役割として「教育」があります。そのため、動物名の表記は最新の学術的知見を反映したものであるべきと考えます。平川動物公園も加盟している公益社団法人日本動物園水族館協会では「動物名表記に関する一般原則」を制定しましたので、当園でも一部の動物種名の表記を見直すことにしました。
平川動物公園の種名サインや公式ホームページには、種名を書いた上で亜種名・品種名まで明らかなものについては括弧書きで亜種名・品種名が書かれています。
例1) ニホンジカ(マゲシカ)
これは「種としてはニホンジカですが、ニホンジカの中でも馬毛島に生息する亜種、マゲシカです」という意味です。
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例2) ヒツジ(サフォーク)
これは「種としてはヒツジで、家畜として改良された品種、サフォークです」という意味です。
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しかし、ヒツジと一緒の所にいるトカラヤギは「トカラヤギ」と表記してあります。
これは種としてヤギであり、品種としてトカラヤギなので、ヤギ(トカラヤギ)と表記しなければいけません。 このような表記も今後は更新していきます。
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「ややこしい。 呼び慣れた昔の名前でいいのでは?」
という声も聞こえてきそうです。しかし、前述したように生物学的に正しく表記することは大事ですし、他の動物園・水族館と異なる表記・種名だと何かと混乱が生じます。
そこで、一部の動物種名の表記を変更したのです。
(実はもっと早く変更すべきだったのですが…)
では、いくつか動物種名表記の変更例をご紹介します。
① ブラジルバク→アメリカバク
② ワタボウシパンシェ→ワタボウシタマリン
③ エリマキキツネザル→クロシロエリマキキツネザル
④ パタスザル→パタスモンキー
…などがあります。
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種名サインをすべて更新するのは費用も時間もかかりますので、上からラベルを貼るなどして応急的に対応しています。しばらくは新たな動物種名に慣れないかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
園長 福守