去年の夏は特別な暑さだと思っていたら、今年の夏も「観測史上初」連発の異常な暑さでした。明らかに気候が変わりつつあることを実感しています。9月になっても、10月になっても暑い日が続きました。気温が高いと園内での水や電気の使用量が増加し、入園者数は減少するなど動物園にも多くの影響があります。屋外での作業が多い園の職員にとっても、気温が高い時期は過酷な労働環境となりがちです。
11月になって「涼しくなったかな?」と感じたのは束の間で、急に気温が低くなり、朝夕は特に寒さが気になる今日この頃です。

私が通っていた小学校の中庭には、キンモクセイの木がありました。古い記憶をたどると、10月中旬にキンモクセイの花の香りがしていたように思います。子どもの頃を過ごした鹿児島県出水市には、ちょうどこの頃にツルの第一陣が飛来します。上空を舞うツルの声とキンモクセイの香り、これらが一体となって私の記憶に刻まれている…というお話を10月の「園長とお散歩タイム」で世界のツルゾーンを歩きながらお話ししました。

しかし、実際に園内のキンモクセイの開花がピークを迎えたのは、11月に入ってからでした。気温が高い期間が長かったので、開花時期がずれ込んだのかもしれません。

11月に園内で「動物園で感じる!動物と気候の関係」をテーマとしたイベントが開催されました。その際にお話しいただいた気象予報士の方が
「気候変動は桜の開花に影響します」
「大幅に開花時期がずれ込んだため、イベント主催者の方が困っておられたことがあります」
というお話をされていました。桜の花が咲かない中でのお花見イベントは、残念というしかありません。私たちが便利な暮らしをすることが気候変動の原因になり、植物の開花に影響し、結果的に人々の楽しみだけでなく経済活動にも影響を及ぼすのだとあらためて感じました。
ところで今年、出水平野にツルがやって来たのは10月21日のことでした。昨年は10月18日、一昨年は10月17日だったようです。この先はどうなっていくのか、気になるところです。
園長 福守
