みなさんこんにちは!平川動物ウォッチング隊員の落合です。今回のズーブログでは、当園のおひざもとの海「錦江湾」の中で見つけた「人魚のワイングラス」について紹介したいと思います。
森は海の恋人と表現されるほど、森は海に密接に関係しています。森から流れ出た栄養塩は海の植物プランクトンになくてはならない存在で、そこから食物連鎖によって様々な生き物の生活を支えていきます。平川動物公園は、園内に五位野川が流れ錦江湾につながっています。このことから園周辺の生き物を調査観察しつつ、川や海の中も同様に調査をするようにしています。先日の調査で、鹿児島では報告がほとんどされていない(たぶんない)人魚のワイングラスと呼ばれる海藻が見つかりました。
この海藻はホソエガサと呼ばれるもので、英語でマーメイドワイングラスとなんともおしゃれな名前がついています。全長3㎝ほどの小型の海藻で傘を開いたような形が特徴です。貝殻の上に生えており、貝殻がある環境が必要で、泥をかぶったり、流れが速い場所では生息できません。かつては西日本各地の内湾に分布していましたが、沿岸の開発や土砂の流入により今では生息地が非常に限られています。ある意味不名誉といっていい環境省の絶滅危惧Ⅰ類に指定されており、アマミノクロウサギなどと同様に希少種といっていいでしょう。
以前から調査している場所では確認できていたのですが、潜水機材を背負って調査するにはアクセスが悪く、ここ数年は少し場所を変えて行っていましたが、まさかこの場所でも出会えるとは思っていなかったので、とてもうれしい発見でした。私自身、老眼が進み、目を凝らしながら砂地に散らばる貝殻を探す作業は楽しくも苦痛ではありましたが、今後の調査が楽しみになりました。
この場所には、他にもサンゴの仲間や錦江湾を代表とするハゼなども生息しています。動物園からつながる平川沖の海が豊かであることは、とても誇りに感じます。穏やかな日は、海沿いのドライブで人魚が住んでいるかもしれない?錦江湾を眺めてはどうでしょうか?