鹿児島フィールドレポート ~ 今年は多い! カツオドリの乱舞に心躍る ~

みなさんこんにちは!平川動物ウォッチング隊員の落合です。日に日に寒さが増し、南国鹿児島でも冬の到来をようやく感じはじめました。一年を通して行う生き物の観察と記録ですが、冬で一番わくわくするのがカツオドリの観察です。平川動物公園から車で数分の距離にある錦江湾では、年間を通してカツオドリを観察できますが、冬は飛来数が増加し見ない日はまずありません。特に今年は飛来している数が圧倒的に多く、観察におすすめですので紹介したいと思います。

シルエットが美しいカツオドリ

風を受けてグライダーのように滑空もします

定期的に羽数調査を実施していますが、11月は十数羽程度だったのが、12月に入ると60羽以上観察できる日がほとんどで、時には100羽近い数を見ることもできます。ここ3年ほどは30羽程度見ることができれば、多い印象だったのですが、今年の数は近年ではとても多いと感じています。

黒い粒はカツオドリ
桜島をバックに気持ちよさそうです

岸壁に囲まれた人工的な入り江で、いったい何をしているのかというと、ずばり採食をしているのです。カツオドリは魚を主食とする海鳥で、上空から獲物めがけて海に飛び込みます。岸壁から見ていると、「よくもまあ、10m以上上空から飛び込んで、上手に魚をくわえることができるな~」と感心してしまいます。

港の近くを飛んでいます
時には頭上を飛び交うことも!

魚の群れが海面近くにいると、一斉に飛び込んでいきます。たくさんのカツオドリを虜にするこの場所には、どれくらいの魚がくらしているのでしょうか?正確な数は海の中なので、わかりませんが、サビキの仕掛けを投入すると、簡単にカタボシイワシが釣れてしまうので、かなりの密度で生息していると考えられます。

たくさんのエサを食べられて幸せ!?と思いたいところですが、カツオドリにとっても受難なアクシデントがあります。それは釣針に引っかかってしまうことがあるということです。

観察していると多くの個体は、針についた魚を認識しているようですが、一部の個体は釣りエサの魚に食いついてしますことがあります。途中で気づいて落とすことがほとんですが、まれにくちばしに針が刺さったり、飲み込んだりすることがあります。

釣り針についたエサに食いついてしまうことも…
くちばしに針が刺さっているカツオドリ

今年は飛来数が多いので、このようなアクシデントが度々見られ、居合わせた際には適切に処置してリリースしています。

先ほどのカツオドリは、脚にルアーが引っかかってしまい回収
不幸中の幸いで、釣り針を外すことができました…

マナーを守り、ゴミの持ち帰りをきちんとすれば、釣りは健全で、自然を身近に感じることができる楽しみのひとつです。カツオドリに被害が及ぶことは釣り人も望んでおらず、仕掛けの工夫で被害が出ないようにしている方もおられます。

魚が豊富で、人とカツオドリにとって「奇跡の海」といっても過言ではない錦江湾が、将来にわたって彼らが乱舞し続けられる海域として守られてければと思い、日々観察と記録を続けています。

某メーカーのキャラクターとして人気があるカツオドリ(よくペンギンに間違えられています)について、もっともっと注目してもらえるように、今後も情報発信を続けていきますので、楽しみにしておいてください。

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