鹿児島フィールドレポート ~ 動物園のお膝元の生き物 海の中はどんな感じ? 2023年9月編 ~

みなさんこんにちは!平川動物ウォッチング隊員の落合です。動物園は地域の生き物の情報ステーションとして、生き物や自然環境について発信しています。このズーブログでもいろいろな生き物や場所を紹介してきましたが、今回は動物園がある鹿児島市平川町沖の海の中を少し紹介したいと思います。

動物園から車で5分程の到着する錦江湾(鹿児島湾)からは、雄大な桜島を見ることができます。60万都市の海ですから、海岸にはゴミがたくさん落ちています。この光景を見ると少し不安になりますが、水中マスクとフィンを手早く装着し、沖に向かって泳ぎ始めました。はたしてどのような生き物がいるのでしょうか?

まず目についたのが、砂地を泳ぐヨメヒメジ。下あごに黄色のひげがあり、通称「オジサン」なんて言われています。ひげにはエサを探す役割があり、砂地をなめるように泳いでします。

他にもアカエイやコロダイなど、砂地の代表格の魚がたくさんいました。大きなコロダイ3匹は、ムラサキハナギンチャクの近くから離れようとしなかったので、よーく観察してみると小さなエビがフワフワと泳いでいました。踊っているように見えることからついたオドリカクレエビです。このエビはクリーナーシュリンプといわれており、魚の体表についた寄生虫や古い組織を食べる習性があります。大きなコロダイは掃除されてとても気持ちよさそうでした!

今年生まれの小さなアカエイ。この個体と別に幅が80㎝近い大きなアカエイもいました!
まったく異なる魚に見えますが、同じコロダイです。上が50㎝の成魚、下が8㎝の幼魚です。
小さなエビはお掃除に大活躍!食べられることはないのでしょう!
サザナミフグ発見!砂地は隠れる場所が少ないので、ちょっとした石や木などに寄り添って隠れている?魚が多いです。

続いて岩場をのぞいてみます。夏場のため海藻は少なめで幼体が多かったですが、南国鹿児島らしくサンゴの仲間をいくつか見ることができました。ミドリイシの仲間、ハマサンゴの仲間、スリバチサンゴの仲間など点在しています。サンゴの隙間やイソギンチャク周辺には、トノサマダイやソラスズメダイ、クマノミなどのカラフルな魚がたくさんいました。

イシサンゴもたくさんの種類を確認できました。

岩場と砂地の境目では、クロダイやヘダイ、アイゴなどの食べると美味しい魚たちが泳いでいます。突然あたり一面が魚の壁になり、キラキラと小魚がせわしなく泳いでいます。鹿児島ではおなじみのキビナゴです。小魚なので多くの生き物のエサにもなっています。あまりにせわしない動きなので、大きな魚に追われているのかなと見ていると、1m程のメジロザメの仲間が現れました!写真を撮ろうと思ったのも束の間、私の姿を見て一目散に逃げてしまいました。狂暴と思われているサメにとっても人間ほど怖い生き物はいないということだと思います。

鹿児島名物!キビナゴがたくさんいました

2時間ほど下見を兼ねた調査を実施しましたが、たくさんの種類の生き物に出会うことができました。今後は、季節を変えながら同じ場所で、どのように生き物たちが変化していくか記録をとっていきたいと思います。

動物園の背後にある山々と、園内を流れる五位野川、そして注ぎ込む錦江湾と生き物たちが繋がる自然環境を今後も大切に見つめていきたいと思います。

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