私が車で通勤していると、多くの野生動物が交通事故の犠牲となっているのを目撃します。そのことについて、1年前にブログに書きました。
フィールドレポート~ロードキル1年間の記録~ – 平川動物公園公式サイト
動物が車両の通行による事故で死亡することを「ロードキル」と言います。事故の犠牲となった動物は道路の管理者によって処理されるため、その被害状況の全容を知ることは難しいのですが、少しでも実状を把握するため、私は2023年1月1日から運転中に遭遇したロードキルの事例を記録し始めました。
1.日時
2.場所
3.動物種
以上の項目について記録を取り、まとめてみました。すでに2023年1月1日から12月31日については1年前のブログに記載していますので、2024年1月1日から12月31日の分について今回は報告します。
まずは2024年1年間のロードキル総件数です。
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2024年1年間で149件ありました。これは2023年の121件よりも多い数です。野生動物ではありませんが、ネコも参考までにカウントしています。ネコが意外に少ないのは、室内のみでの飼育が増えて交通事故に遭うことが少ないからなのか、野生動物の件数が多いため相対的に少なく見えるのか、このあたりは継続して調査することにより見えてくるのかもしれません。
アナグマ、タヌキの順に多いのは2023年と同じ傾向です。動物種の判別が困難な轢死体もありました。雨天時・交通量が多い時・カラスやトビにより食べられた時などは損傷が激しく、何の動物なのか分からなくなってします。
アナグマとタヌキについては、印象としては冬にタヌキが多く、夏はアナグマが多いと感じていました。グラフにするとその傾向が一目瞭然です。
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2023年は1月~2月と12月はアナグマの事例は全くありませんでしたが、2024年は12月にも1例のみ見られました。秋まで気温が高い傾向にあったので12月上旬までアナグマが活発だったのかもしれません。(アナグマは気温の低い時期に冬ごもりします)
次に全動物種を合わせた月別の件数です。
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8月、5月が多いのは2023年と同様の傾向です。
春は出産と子育ての時期で、5月頃は多くの食物が必要となるため行動範囲が広くなり、道路を横断する際などに事故に遭いやすくなるのでしょう。
8月と9月に多いのは、春に生まれた若い個体の行動範囲が広がり、事故に遭いやすくなる可能性があります。2024年9月に比べて2023年に9月の目撃件数が少ないのは、宿泊を伴う県外出張が複数回あったため、私が車の運転をする機会が少なかったのも一因かもしれません。
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2024年の夏は記録的な猛暑で、秋になってもなかなか涼しくならずに高温傾向でした。農作物が高温障害などにより品薄となり、野菜の価格が驚くほど高かったのは記憶に新しいところです。
想像の範囲にすぎませんが、猛暑は野生動物の食べ物となる木の実の結実量などにも影響したのではないか?という可能性も考えました。食べ物が不足すると、より広い範囲を探し回らなければ空腹を満たせないため、道路を横切る機会が増えて事故に遭った、ということも考えられます。
2025年も引き続き記録を続けていますので、継続的に調べることにより新たな知見が得られることでしょう。
平川動物公園で暮らすタヌキやイノシシを見られたら、ロードキル問題のことを思い出し、より一層の安全運転に努めていただけたらと思います。
園長 福守