みなさんこんにちは!平川動物ウォッチング隊員の落合です。
今回のズーブログでは、6月に実施したコアラの搬出と搬入について紹介したいと思います。
毎年、国内コアラ飼育園館の担当者が集まり、繁殖や飼育について協議する会議が行われています。特にこの会議の中で重要になるのが、国内の繁殖計画に伴う個体の移動です。生まれた動物園で過ごし続けても、将来的に繁殖相手がいない(血縁関係がある個体ばかりになる)状態に陥ります。繁殖適齢期前に移動することで、移動先の環境に慣れた状態で余裕をもって取り組むことができます。貸出や借受は無償で行うことにしており、日本全体で飼育されているコアラたちを一つの群れとして考え、将来的に個体数の維持と良好な血統が保てるように配慮しています。
昨年の会議で、おおよその移動個体が決まっていました。オスのソラを埼玉県こども自然動物園へ搬出し、愛知県の東山動植物園から、貸し出していたイシンの仔で、鹿児島市に所有権があるメスのつくしと、オスのタイチ(イシンと交換)を迎え入れることになりました。当園は移動前には17頭飼育していましたので、移動後は18頭になりました。
東山動植物園へ貸出していたイシンは繁殖に成功し、非常にうれしい結果となりました。
それと17頭飼育していても、将来的に軸となるオスの高齢化と血縁関係が気になりだしていました。タイチが来てくれたことで、各段に繁殖が進めやすくなりました。
一方、埼玉県こども自然動物園に搬出したソラは、まだ2歳と若いですが、来年には性成熟を迎えます。上述した通り余裕を持って移動させることで、埼玉での生活に慣れ繁殖をスムーズに進めることができると考えています。
生まれたときから関わってきたソラが、当園からいなくなることは担当者として少し寂しい気持ちもありましたが、ソラとコアラたちの将来を考えると、ベストな選択だったと信じています。
埼玉でも展示がはじまり、元気に暮らしているようです。多くのお客様に愛されるコアラになってくれることでしょう!
移動が一段落しましたが、次回の繁殖シーズンである年明けからのペアリングを検討する必要があります。当然ですが大事に育て、良い状態で管理をしていきたいと思います。
コアラたちがコアラらしく、生き生きとその姿を見せてくれるよう、バックアップに努めますので、ますます賑やかになったコアラ館へぜひお越しください。そして来年度のコアラたちの移動についても、そろそろ本格的に協議される時期がきます。緻密な計算のもと、繁殖に適したペア形成や優先順位などから、個体群の維持に向けて協議されることになります。
出会いと別れはうれしさと寂しさを伴いますが、すべては動物園の役割である「種の保存」に向けた動きです。
これからも日本のコアラが愛され続けていけるように、飼育園や担当者は日々知恵を絞り汗をかいていきたいと思います。