みなさんこんにちは!平川動物ウォッチング隊員の落合です。今回のズーブログでは、鹿児島県本土の南にある種子島で出会った生き物について紹介したいと思います。種子島には出張で行ったのですが、なぜ種子島にわざわざ出張に行ったかというと、コアラのエサで必要なユーカリ畑があるためなのです。種子島は鹿児島県本土に比べ温暖であるため、冬季の寒波の影響が受けにくく、ユーカリの供給に欠かせない場所でもあります。毎年数回は畑の状況を確認するために出向いています。
初めて行った種子島には、どのような生き物がいるのか?ユーカリ畑も大事ですが、夜間と移動中は自由時間!?ですので、調査にいそしみました!行く前は「平坦で単調な島かな?」と思っていましたが、2日間の調査で印象が180度変わりました。すごい島ですよ!!
はじめにユーカリについても紹介しておきます。ほとんど霜が降りない種子島は、冬季のユーカリ供給に欠かせない場所です。長年、栽培供給に協力してもらっている種子島森林組合の方の案内で、生育の確認や苗の状態確認、新規圃場の候補地などを視察しました。大きく分けて4か所に畑があり、主に冬季に、はるばるフェリーでユーカリを輸送しています。今年は、鹿児島県本土では降雪があったので、種子島のユーカリには本当に助けられました。視察と協議は2日間に及んだのですが、初めての種子島に、フィールド好きの私はうずうずしていました。
移動の合間に、まずはウミガメの産卵地へ立ち寄っていました。国内のウミガメの産卵地として有名なのが、お隣の屋久島ですが、種子島も有数の産卵地となっています。つい最近上陸して産卵した形跡が見つかり、ウミガメの息吹を感じることができました。
続いては、最近何かと話題になっている馬毛島で暮らすマゲシカについてです。種子島の沖合にある馬毛島にはマゲシカという、ニホンジカの固有亜種が生息しています。ただ種子島にもマゲシカが分布しているので、何とか出会いたいと思っていました。島民の方いわく「畑への侵入がひどく、夜間もいたるところにいる」でした。たしかに畑には防除ネットが張っていますし、なんとユーカリの苗も食害にあっています。どうにかしてお目にかかりたい…ということで夜行性のシカに会うために、目星をつけていた林道へ夜中に向かうことにしました。
シカを探すには、鳴き声を手掛かりに探します。鳴き声は「ピィーー」みたいな感じでしょうか?車を止めて、暗闇で耳を澄ますと聞こえてきました。あとは気づかれないように身を潜めて、獣道や見晴らしのいい場所でしばし待ちます。ガサガサ聞こえる方向をライトで照らすと、メスのマゲシカがいました。本土のキュウシュウジカよりはやや小柄な感じがしました。この後もいたるところで見ることができました。感想としては「こんなにいれば、そらユーカリも食べられるはず」頭が痛い問題です…
続いてのターゲットはヒキガエル。なぜ種子島でヒキガエル?と思ったでしょうが、種子島はヒキガエルが多くてでかい!と聞いていたので、シカと合わせて探していました。一般的にヒキガエルを観察しようとすると、冬場の繁殖期に水辺でしか狙って見つけることが出来ない生き物です。でも種子島のヒキガエルは違いました。森の中の林道で、普通に出会えました。何か石が落ちている?と思ったものが、ほとんどが巨大なヒキガエルでした。小一時間で数十匹は見たでしょうか?すごい光景でした。ヒキガエルはジャンプが苦手なので、素早く逃げることはありません。のんびり逃げていくので、車にひかれることも多いようで、細心の注意で運転することが大切です。カエル好きには最高ですが、あまりの大きさで、一般的に気持ち悪い部類なので恐怖でしかない光景かもしれません。
最後にニホンイシガメです。意外かもしれませんが、鹿児島県本土では水棲ガメは貴重な存在です。ずばり簡単には見つからないです。例外的にスッポンはよく見かけますが… 特に貴重なニホンイシガメが種子島にはたくさんいると聞いていたので、探してみました。苦戦するだろうな~と思っていましたが、用水路をのぞくと、簡単に見つかりました!しかも10匹ほどが甲羅干しをしていました。すごいです!
ヒキガエルもイシガメも、離島ならではの環境で、このように生き残ったのでしょう。外敵となる哺乳類が県本土に比べて種類が少ないのが影響していると思います。
どうしても世界自然遺産であるお隣の屋久島が注目されがちですが、種子島も負けず劣らずの素晴らしい自然環境を有しています。今回は短時間の調査で、深く掘り下げられませんでしたが、今後も調査や観察を続け、種子島の自然や生き物について情報を発信できればと思います。