ツバメの巣の観察2023

春になりツバメたちが飛び交う姿を見かけるようになりました。平川動物公園内では、よく巣作りします。去年、そんな彼らの姿をそ~っと観察してみたのでご紹介します。

6/14 抱卵している様子です。
6/16 親鳥が巣にとまっていました。
6/20 巣のフチが、かさ上げされて中が見えなくなってしまいました。成鳥が時折やって来てフチにとまりますが、しばらくすると飛び去ります。

6/22~28 周囲を数羽の成鳥が飛び交っており、そのうちの1羽が、時々巣のフチにとまりましたが、ヒナの気配はありません。6/14に抱卵していた卵は、どうやら孵化しなかったようです。
(ツバメの抱卵期間は13~18日間、育雛期間は20~24日間です)

6/30 見に行った時はいませんでしたが、しばらくしたら成鳥が飛んできて、巣に入りうずくまりました。抱卵しているようです。
7/1 抱卵中の親鳥のすぐそばにもう1羽の成鳥がとまっていました。
7/1~11 抱卵は続きました。
2羽の関係はわかりませんが、ペアの相手かもしれません。
7/12 抱卵は続いていました。しばらくしてもう1羽の成鳥が巣に近づき鳴きかわしていました。(邪魔しないように壁の向こうに姿をかくして聞きました)
近づいた鳥が離れた後、抱卵中の親鳥の姿勢が少し変わっていましたが、うずくまり続けていました。
7/14 見に行った時、親鳥がややフチぎわにとまり、身を起こして開口呼吸(口を開けて呼吸すること)していました。しばらくするとうずくまりなおしましたが、ヒナの声は確認できませんでした。
7/16 見に行った時、親鳥は巣におらず、外を飛び回っていて、しばらくして戻って来て巣のフチにとまり内部に首を突っ込んだりしていました。孵化したのかもしれないと思い、近くに卵の殻を捨てていないか探してみましたが見つけられず、また、ヒナの声も確認できませんでした。
7/17 見に行った時、親鳥がフチにとまり、巣内をのぞき込んで何かしていました。その後しばらくフチで開口呼吸しながらじっとしていましたが、飛び去りました。
すぐにもう1羽の親鳥が飛来し、巣のフチにとまり巣の中から白い物(径5㎜位?)をくわえて頭をあげ、飲み込み、飛び去りました。ヒナの声は確認できませんでしたが、ヒナのフンを運び出したようでした。
7/21 親鳥は巣におらず、ヒナの頭を3羽分確認しました。
7/26 ヒナを4羽確認しました。親鳥が巣にエサを運んでいる姿も見ることができました。
7/29 ヒナを5羽確認しました。親鳥も忙しくエサを獲ってきているようでした。
7/30 近くの売店の職員から、ヒナ1羽が落下しているとの知らせがありました。巣立ち直前のようです。脚立を使い巣に戻しました。
落下したヒナを戻す前の巣の様子です。3羽しか確認できませんでした。
8/3 巣はぎゅうぎゅうです。巣立ちは近そうです。
8/5 巣は空になっていました。巣立ちしたのです。これで観察は終わりだな~と、少し寂しいような気がしましたが、実は意外な続きがありました・・・

8/12 夜間開園時(22時15分頃)巣内で4羽が休んでいるのを確認したのです。ねぐらとして使用しているようです。考えてみれば、巣をかける場所は垂直の壁の天井近くです。ここなら、ヘビも登って来られませんし、カラスやテンなどに襲われる心配もありません。電線や木の枝にとまって眠るよりよほど安全です。
8/25 夜間開園時(21時50分頃)巣は空でしたが、向かいのもう1個の巣(こちらではその年は営巣の様子はみられませんでした)で1羽のツバメが休息しているのを確認しました。

その後は、園内でツバメを見かけることはなくなりました。冬に備えて南に渡って行ったのだと思います。渡り鳥の旅は過酷で、巣立ったヒナの数年後の生存率はあまり高くないといわれています。あのツバメたちが無事に戻って来てくれていることを祈るばかりです。

ちなみに、繁殖に成功した巣は、ツバメたちにとっては人気物件で、毎年、繰り返し使用される可能性が高いのだそうです。昔から害虫を駆除してくれるとありがたがられてきたツバメたち。人間のそばで命をつなぎ、これからもずっと共存していけたらいいなと思います。(田んぼ・ブドウ畑・ミカン山にかこまれて成長した桜井)

参考書籍 「ツバメのひみつ」長谷川克著作・森本元監修 緑書房

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