レッサーパンダ「風美」との5年間-part2

皆さん、こんにちは!
フライングケージ、世界のツルゾーン担当の日高です。
今回のブログもタイトルにある通り、前回のブログ→レッサーパンダ「風美」との5年間-part1 – 平川動物公園公式サイト (hirakawazoo.jp)の続きを書いていこうと思います。
(話の流れ上、part1をまだ読んでいない方は是非そちらからお願いします。)

part2も最後までお付き合いください!

前回のブログで、風美の飼育担当として3つの目標を立てていました~というようなことを書きました。
今回はその中の1つ目に挙げた「せめて飼育下の平均寿命は迎えたい」についてです。

レッサーパンダの飼育下の平均寿命はおよそ15歳といわれています。
近年は飼育しているからこそ分かったことやそれによってできることも少しずつ増えているので、飼育下の平均寿命を超える個体も中にはいます。
「長生き=幸せ」とは限りませんが、飼育担当者の勝手な思いとしては出来るだけ健康で長生きしてほしいという思いがあるのは事実です。
そして、飼育下で長生きするためには自ずと良い環境・良い飼育・適切なケアや医療等が必要になってくると思います。


part1でも書いていますが、出会った当時の状態では本当に15歳まで生きられるのだろうか?と思っていました。
年齢の割に老けている、寝てばかりで表情も暗く食事の時間以外は活気がない、毛並みも悪い、心臓も悪い。何なら歯も随分と摩耗し、一部破折・脱落までしている…。
この他にも挙げ出したらキリがないですが「これもまた1つのやりがいかなぁ」とも思っていました。
飼育の仕事は完全な正解やゴールがないからこそ悩むことや判断に迷うことも非常に多いのですが、とても面白くやりがいのある仕事です。


第一印象であまりにも老けていたので歯や視力・運動能力が気になり、出会った初日にすぐに確認したことを覚えています。
まだ何も健康管理のためのトレーニングを始めていない頃でしたので、口腔内を確認するのは難しく、少し大きめに切ったリンゴを手渡しで与える際に少しもったいぶってどうにかして口の中を確認しようと必死でした。
視力や目の状態、運動能力に関してはそこまで大きな問題はなさそうだったので少し安心しました。

木登りも大好きで、いくつかお気に入りの場所がありました。
その中でもツル舎側の少し丸みのある枝の上からよく担当者のことを監視していました。

詳細は次回ブログのpart3で触れていく予定ですが、被毛に関しても気になることが多かったので獣医師に検査を依頼しました。

このように風美には気になる点が多かったので、問題点やその原因を見つけるためにもとにかく観察するしかないな!と思いました。
レッサーパンダだけを担当しているわけではないので、担当獣舎間の移動の際などほんのわずかな時間、通りかかる度に必ず観察するようにしていました。
また、来園者の方、常連の方、レッサーパンダファンの方が風美の日中の様子をお話してくださったり、撮影された写真や動画を見せてくださったりもしました。
ずっと風美だけを見ていられるわけではないので、自分が見ていない時の様子も知れるのは大変ありがたいことでした。


風美のフレンドリーで物怖じしない性格に助けられることも多かったのですが、それ頼みだけでは今後必要なケアが十分にできないことも考えられました。
付き合っていく上での互いのルール作り、そして風美の健康管理のための選択肢を増やすためにもトレーニングが必要だと感じたのです。(このことについても今後のブログで触れていく予定です)



死亡のお知らせ→レッサーパンダの死亡について – 平川動物公園公式サイト (hirakawazoo.jp)では、2016年から心疾患の治療~と触れています。
私が出会った頃には、心臓が悪いことは分かっていたことでした。
投薬による治療はすでに行われており、風美自身も日常生活を送る上では全く支障がない様子でした。(毎日の投薬の際は、薬をひと口で飲み切るように1.5cm角のリンゴに錠剤を埋め込んで直接手渡しで与えていましたが、風美は全くといっていいほど薬のことは気にしていませんでした。)

今回のお知らせで以前から心臓が悪かったことを初めて知った方や、これまで風美を見たことがある方も全くそのような印象を受けなかったと思うので、びっくりされた方もいらっしゃったはずです。
私たち飼育関係者も心音を聴いたりエコーやレントゲンなどの診断画像を見たりしなければ、心臓が悪いということを本当に忘れてしまうくらいでした。
日常生活には全く支障がなかったので、ニュアンスというか…こちらの伝えたいことと、誤った情報が伝わることがないよう、これまで風美の心臓のことについては面と向かってお話しできる状態で尋ねられた場合のみお答えしていました。この点はご理解いただければ幸いです。


風美の誕生日は7月11日。
担当になってからの誕生日は毎年お祝いしました。
ささやかではありましたが、誕生日イベントでは風美の近況についてお話しました。
そしてこの日は必ず写真を撮りました。
毎年1枚ずつ誕生日の写真が増えていく(=また1年無事に過ごしてくれた)ことが本当に嬉しかったです。
担当した当初は「15歳まであと5年、長いなぁ…。」と思っていましたが、今思えば本当にあっという間の5年間でした。

11歳の誕生日
12歳の誕生日
13歳の誕生日
14歳の誕生日
15歳の誕生日
(当の風美は「誕生日?そんなことどうでもいいから早くリンゴ!!」と思っていたかな?)
長くなりましたが、part2も最後までお付き合いいただきありがとうございました!
part3もお楽しみに!



昨年はソラちゃん(風美の娘)と風太くん(風美の父)に会えたので、今年はキラくん(風美の息子)に会いたいと思っている フライングケージ、世界のツルゾーン担当 日高


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