ワオキツネザルの人工哺育③ 完!

お久しぶりです!
ワオキツネザル担当の松本です!
今回は、今まで①・②とお話ししてきたワオキツネザルの人工哺育③完!となります。

最近のヨカゼ

前回の記事では、ワオキツネザル島で同居の練習をしていますとお話ししましたが、あの後も島での練習を続けていました。

初めの頃はペアの担当者と二人体制で監視を行い、池へ転落した場合や他の個体から攻撃を受けた際、すぐに助けられるよう獣舎の中でスタンバイしていました。

初めは5分~10分程度の練習でしたが、「何かあったらどうしよう」と不安で時間が長く感じたことをおぼえています。

10分~20分、20分~30と少しずつ島にいる時間を長くしていきました。ヨカゼも初めての環境に驚いていたと思いますが、慣れようと頑張ってくれていたと思います。動物の環境に適応する力は凄いなと改めて気づきました。

同居練習中落ち着かない様子

練習を重ねるうちに、ヨカゼや私自身も慣れてきたので観察する時間を30分に一度、1時間に一度と間隔を長くしていきました。そこからは午前中・午後に一度と順調に進んでいきました。

お昼休憩を終えた後、ヨカゼの姿が見あたらず何度も獣舎に走ったことを思い出します。(裏側にいってしまい見えなくなっていただけなのですが・・・)このような段階を経て、1日中 島で暮らせるようになりました。

少し落ち着いてきたころ

ここからは、ヨカゼ自身が他の個体と少しずつ馴染み、群れの仲間入りができるかどうかでした。夜間は部屋の中で一緒に暮らしていましたが、エサをなかなか食べにいけなかったり島内でも1頭で過ごす姿が多くありました。

それでも、私たち人と一緒にいたり慣れさせてしまうと群れの仲間として暮らしていけなくなります。なので心の中で「がんばれ!」と思いながら見守りました。

すると、島で暮らすうちにヨカゼが他の個体に近づいたり大人たちが匂いをかぎにきたり、少しずつ群れに馴染む姿が増えてきました。エサもなかなか食べにこられませんでしたが、大人たちと一緒に食べる姿が増えていきました。

左 ヨカゼ 右 クロ

その後も、仲の良い個体と一緒にいたり木を駆け登ってみたり、徐々にワオキツネザルらしい姿になっていきました。群れで暮らすうちにワオキツネザルとして必要なことを覚えていったようです。

木から覗いています

最近では太陽に向かって日光浴をする姿や、他の個体を毛づくろいしてみたり、獣舎の上でうたた寝してみたりと、ずいぶん馴染んでいるようです。エサを食べにくるのも一番乗りです。他の個体に「キッキッ」と威嚇したりする姿も・・・。ワオキツネザルとして過ごす姿を見るたびに、嬉しい気持ちになります。

獣舎の上で日光浴

私自身、人工哺育が初めての経験だったので手探りの状態から始まりました。先輩職員の方にアドバイスを頂いたり過去の記録を探したり、不安な気持ちの方が大きかったように思います。

しかし、ヨカゼの生きようとする力や成長を見ているうちに「絶対群れに返すぞ!」という気持ちに変化していきました。この人工哺育を通して、飼育員として学ぶことやたくさんの経験をし、改めて動物の生きようとする力は凄いなと感じています。

生後2日目
少し大きくなったころ

この先、ヨカゼが大人になり順位争いをしたり、出産や子育てをする日がくるかもしれません。どんなときも健やかに暮らしてくれたらなと思います。

同居練習に向かっているとき

また、私一人で人工哺育を行ってきたわけではありません。担当ペアや班の方、獣医さんなど多くの方にお手伝いいただきました。本当に感謝しています。

ヨカゼや島のワオキツネザルたちもありがとう!

はじめてのスイカ
はじめての柿

そして、最後までブログをご覧頂いたみなさまもありがとうございました!これからもワオキツネザルたちが、健やかに暮らせるよう飼育員として取り組みSNSやブログでも発信していきます!

最近は寒くなってきたので、お身体にお気をつけください!

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