新コアラ館がオープン

3月26日に新しいコアラ館がオープンしました!

これまでのコアラ館と異なるところは、ガラスなどの遮るものがなく間近でコアラを観察できるところです。高さが約8mある館内にはガラス窓から日光が降りそそぎ、ユーカリなどオーストラリア原産の植物が植えられています。より自然に近い環境での飼育展示を目指します。

新コアラ館の外観
高さがあり開放的な館内

工事が完了し、コアラ館を使えるようになったのが3月8日のことでした。それからのコアラ担当者は餌となるユーカリ採取などの日常の飼育業務に加えて、コアラが登る組木を設置したり、コアラを少しずつ新居に慣らしたり、掲示物を作成したり、空調設備等の操作を覚えたり、ユーカリの植え替えを行ったり…と非常に多忙な日々となりました。

担当者は本当に大変だったと思います。コアラ担当以外の職員も協力してくれて、無事にオープンの日を迎えることができました。

オープン後も私が気になっていることが2つあります。
まずはコアラのことです。

新たな環境に慣れたかな?

1日に20時間以上眠るといわれるコアラが新コアラ館で起きていると、「新しい環境に慣れないんじゃないか、安心できていないんじゃないか」と心配してしまいます。お客様は「な~んだまた寝てる」と言われますが、私たちは新コアラ館でコアラがぐっすり眠っているのを見ると「新たな環境に慣れてくれたんだ」、とホッとするのです。

コアラたちは徐々に落ち着いてきたものの、館内では入館してすぐの所に書いてある注意事項(「大きな声を出さないで」など)を守っていただけるとありがたいです。

注意事項を守りましょう!

次にユーカリのことです。

前にも書いたように、コアラがくらすスペースにはユーカリなどが植えてあります。これまでにない試みでしたので、「うまく根付いてくれるだろうか、室内だけど植物が生長するのに必要な光が当たっているだろうか、コアラが新芽を食べつくして枯れないだろうか…」と心配が尽きません。

それでも、枝先に新芽が芽吹いているのを見つけた時には嬉しくなってきました。これも飼育担当者が日々努力しているからなのでしょう。まだまだ気は抜けませんが…。

ユーカリを植える様子

今回は屋内施設だけではなく、「イベント広場」と呼んでいる屋外施設も整備されました。今こちらにいるのはオスのバンブラです。コロナウィルス感染症対策として密集を避けるため、「コアラのお食事タイム」を現在は実施できていません。再開できるようになったら、このスペースを活用する予定です。

イベント広場

非公開なんですが、新たな飼育スペースも設けられました。魅力的な展示スペースは話題になりがちですが、動物園でくらす動物たちにとってバックヤードの充実は幸せなくらしに直結するので重要です。それは検疫、療養、静養のために、さらには老齢個体が余生をすごす場所としても必要だからです。

コアラを飼育するための施設が一応は整いましたが、正直なところ

「館内に植物を植えたことにより自然な環境を再現した」

と胸を張って言える段階にはありません。まだまだ発展途上段階です。しっかり根付いた木が生長し、枝葉が茂るようになるまでには時間を要します。長い目で見守っていただいて、「〇年前より良くなったねぇ」と言ってもらえるような飼育環境づくりを目指します。

園長 福守

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