新しいコアラ館ができるまで ~構想から建設開始まで~

みなさんこんにちは!平川動物ウォッチング隊員の落合です。今回のズーブログでは、リニューアルした新コアラ館について紹介したいと思います。

コアラを観察するにはもってこいの施設が完成しました!

今年の3月末にオープンした新コアラ館は、ガラスやフェンスなどの隔てるものがなく、コアラと同じ空間で過ごすことができる屋内施設です。鳴き声や食べるしぐさ、ユーカリのにおいなど、コアラのすべてを間近で感じることができる施設となりました。オープンから約1か月が経過し、コアラも担当者もずいぶん慣れてきた感じがしています。施設はどうやってできたのか?その裏側を紹介したいと思います。

隔てるものがなく、コアラとの距離も近いです!

約40年経過したコアラ館は、老朽化も進み、当時の設計思想も現代では少し古くなっていました。もっとコアラが過ごしやすく、頭数が増加した際にも、ゆとりのある飼育環境を維持したいと考えていました。そこで当時の担当者を中心に、基本構想を作り上げました。屋根しかなかった屋外展示場を空調完備の室内施設へ建て替えることを前提に、コアラを間近で観察でき、もっと興味を持っていただける施設を目標に、細かい調整を進めました。そこで決定したのが、①同じ空間で観察できるウォークスルー方式を採用する、②自然光をふんだんに取りいれ、ユーカリの栽培に挑戦する。③最終的にはコアラが暮らす森のイメージに近づけるなどを構想の柱としました。

とはいえ、国内のコアラ飼育動物園でこのような施設はありませんので、オーストラリアの施設や植物園の温室、水族館などを参考に、イメージ図を作成していきました。

図面を組み立てて、模型も作りました。イメージしやすくなりました!

着工の半年前には、実施設計図の素案が完成し、手直しを加えながら、完成形に近づけていきました。

工事の工程は大きく分けて2つありました。まずは既存屋外展示室の解体です。約10か月の工事期間中に屋外を使用していたオスの2頭は、このままでは狭い屋内個室での管理となります。少しでも環境の良い仮住まいを準備したいと思い、特別に工事期間中のみ利用するプレハブ棟を準備しました。おかげで、ブンダとバンブラは快適に生活できました。

明るくて広いプレハブ棟で、約8か月暮らしました

そして重機による解体工事には、大きな音と振動がつきものです。建物内とはいえ、安心はできませんので、常に様子を注視しながら解体工事を進めていきました。約2か月後には完全に更地となり、ここから新しい建物ができるのか~といまいち実感がわかなかったのを今でも覚えています。

長年おなじみだったコアラ館入口ともお別れです
手すりや仕切り壁なども取り壊していきました
重機の騒音を心配しましたが、業者の方の配慮もあり、特に問題はありませんでした
約3ヶ月できれいな更地になりました。ここに新しいコアラ館ができます

それと新施設に植栽するユーカリの準備も進めました。苗から植えては時間がかかりすぎるので、植え付けて2~3年経過した木の移植準備にも取り掛かりました。いきなり抜いて植えても、うまくいく保証はありません。そこで根切といって、太い根を切っておいて、移植の際にダメージが少なくする工夫を、移植候補のユーカリに1年前の4月に行いました。

苗を植えて2~3年程度のユーカリを数種類選んで、移植のための根切作業を実施しました

建設の準備ができた8月下旬より、建設作業が本格化していきました。続きは次回で紹介します。

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