ヨシミのこと~顔合わせ・同居編②

みなさん、こんにちは!
ヨシミのことについて、前回のブログ【ヨシミのこと~顔合わせ・同居編① – 平川動物公園公式サイト 】の続編を書いています。

ヨシミは順調にピータン、ケイ、イチローとの顔合わせ・同居を順調にこなし、屋外運動場で4頭で過ごす日も増えてきました。
残るはイチエ・ライチ親子、モモ・カリンバ親子との顔合わせ・同居です。
顔合わせ・同居の手順などについては前回のブログの通りです。しかしながら、これまでとは少し条件が違います。
今回からはヨシミ1頭に対して相手は2頭、しかも親子ということです。(これまでの傾向から、ケイも一緒にいた方がヨシミにも同居対象個体にとっても良い影響をもたらすのでケイは顔合わせ・同居の際は必ず居てもらうこととしましたが。)

子どもを守らなくてはいけないので母親(イチエ、モモ)がヨシミに対して強気に向かってくることが懸念されます。
一方で、子どもの存在が橋渡しとなり顔合わせ・同居がスムーズにいくこともあり得ます。
さて、結果はどう転ぶでしょうか…?

屋外運動場にも徐々に慣れてきた頃のヨシミ

【イチエ・ライチ親子との顔合わせ・同居】

イチエ・ライチ親子との同居練習は他のメンバーとの練習では1,2回で済んだのに対し、安心できるまでに5回ほど練習が必要でした。
初回同居は最初こそ騒がしかったものの時間経過と共に落ち着き、緊張感はあるものの険悪でもなければ仲良くもない感じでした。
一度イチエとヨシミが揉めそうになる瞬間(原因はライチが怖いものなしでヨシミに近付きすぎたせいで悲鳴を上げ、何もしていないヨシミに怒りの矛先が向く)がありましたが、ケイが仲裁に入り大ごとにならずに済みました。ライチの動きが予測できないので、良くも悪くも転びそうです。

2回目からはイチエとヨシミが互いに歩み寄り、挨拶行動が見られそうでした。
このままオトナ同士挨拶をして良い雰囲気になりそうなところでライチがヨシミにちょっかいをかけ、せっかくの仲良くなるチャンスが何度も台無しに ( ;∀;)

驚いたのは、ライチがあまりにも好奇心旺盛でイチエから離れてひとりでヨシミにグイグイ近付いて行ったことです。いくら格子越しに顔合わせしていたとはいえ、初めて会うオトナのチンパンジーにひとりで向かっていくなんて、怖いものなしにも程があります。
イチエは最初、「そっち(ヨシミの方)に行くな!」といった雰囲気でしたが、ライチは聞く耳持たず好き勝手やりたい放題やっていました。
あまりに自由すぎるのでケイがライチを窘める場面もありとても興味深かったです。

ライチの頭をガシッと掴み「あまり調子に乗るな、ちょっとは落ち着け!」と窘める!?ケイ


また、同居序盤のケイは徹底的にヨシミをピッタリマークしてイチエ・ライチから守ってくれたのですが、仲が深まってくると「あとは女子チームだけでうまくやれよ~俺は何かあった時しか動かんぞ~」といった感じでドシッと構えて座っているだけです。この余裕すら感じる姿も印象的でした。

3回目以降はライチの動きも少し落ち着き、イチエがヨシミのことを許容し始めました。
5回目は終始良い雰囲気で挨拶行動、遊び、笑い声なども観察されました。4回目よりも更に1歩踏み込んで仲良くなれたように思います。

ヨシミ(右)とじゃれあうライチ(左)、後ろでドシッと構え見守るケイ


【モモ・カリンバ親子との顔合わせ・同居】

モモ親子との同居練習は2回で済みました。
ここまで来るとヨシミも同居練習は慣れたもので、ドンと構えて余裕すら感じるくらいでした。
初回からヨシミは下手に出ながらも積極的にモモに歩み寄ろうとしていました。モモも多少怖がってはいるものの、ヨシミが至近距離にいても割と平気そうでした。
2回目は、互いに挨拶行動も見られ、モモはヨシミがいてもカリンバを自由に歩かせていたので、ヨシミのことも許容しているようでした。また、カリンバもヨシミに何度も近付いて触っていました。

挨拶しあう2頭
ヨシミに触れようとするカリンバ

これで一通り先住メンバー全員との顔わせ・同居が済んだので、以降、様々なメンバー構成でバックヤード(非公開の屋外運動場)及び屋外運動場での同居練習を重ねました。(※ヨシミに少しずつ色々なメンバーに慣れてもらうため、まだこの時点では全頭同居は行っていません。)

同じデッキで休むヨシミ・ピータン
イチローとヨシミ
グルーミング中のヨシミとモモ親子
ケイにグルーミングするイチエ・ヨシミ
ライチと遊ぶヨシミ
ライチとヨシミ



様々なメンバー構成でも十分問題なく過ごせてきたので、いよいよ全頭同居に踏みきります!

3月17日、いよいよ全頭同居の日(とても楽しみにしていたんです!この時までは…。)
初の全頭同居を行うはずが…
屋外運動場へ出るまでのシュート(動物用の移動通路)内で、放飼の順番上、ケイが居ない一瞬の隙を狙ってイチエがヨシミの背中に飛びつきました( ;∀;)
そのままの勢いで、2頭とも屋外運動場へ出て行ってしまったので、急いで事態を観察します。
屋外は広いスペースで一定の距離が保てるので、ヨシミがイチエから逃げることで事態が収まるかどうかを待ちました。
最初はなんとか逃げられていたヨシミも運動能力の高さではイチエには到底敵わないようで、ついに捕まってしまい背中を負傷してしまいました。(一見、冷たく思われるかもしれませんが、チンパンジーがどんなに激しく騒いでいても、担当者は傍観者のように常に冷静でなければなりません)

これだけで終わればよかったのですが・・・
先に屋外運動場へ出ていたピータンがすぐさまイチエに加担し、2頭でヨシミを攻撃し始めました( ゚Д゚)

ヨシミとピータンの2頭だけでは非常に仲良く過ごすのですが、ここにイチエやモモが加わると急にピータンは寝返ってイチエやモモの味方につこうとします。(実はこれまでにも何度かこういう手のひら返しのようなことがありました。女の世界は色々ありますね…(^^; )

この出来事はこれまでの同居練習中、稀にあった「ちょっとした揉め事」というよりは完全に「闘争」といった感じに発展しそうだったので急いでケイを合流させます。
ケイが屋外運動場に合流すると、事態はみるみる収束していきました。(ケイ、さすが!かっこいいぞ~!!)
このような事態が起こった時、屋外運動場では私たち飼育係はほぼ手が出せません。ケイだけが頼みの綱なのです。

最終的にはイチエからの受傷よりも加担したピータンからの受傷の方がひどく、後肢の指や足の裏に深い傷を負ってしまいました。
ケイが事態を収めると、イチエ・ピータンも正気を取り戻したように落ち着きヨシミに対して仲直り行動が見られました。
ヨシミは深い傷を負い、とても怖い思いをしたはずですが、イチエ・ピータンと盛んにコミュニケーションを取ろうとします。
このまま良い雰囲気で過ごせそうだったので同居を続行したかったのですが、傷の状態があまり良くなさそうだったのでケイとともに屋内に収容しました。
担当者による傷の状態確認と獣医師による診察の結果、傷口の衛生状態を保つために2週間ほど室内管理となり、併せて感染を防ぐための投薬を続けました。
2週間もすると傷も8割程治癒し、残りの2割程の傷はその後2週間のバックヤードでの療養中に治癒しました。(チンパンジーあるある:傷の治り方が尋常じゃないほど早い!!)


担当者が思うチンパンジーの好きなところのひとつが、喧嘩もするけれど仲直りも出来るところです。喧嘩はない方が良いに越したことありませんが、喧嘩がないと仲直りの仕方も学べません。相手との距離感など勉強になることもあります。
喜怒哀楽のはっきりしたチンパンジーの世界ではちょっとした揉め事は日常茶飯事ですが、喧嘩していたかと思えばすぐに仲直りし、しょうもないことでじゃれあって遊び・笑いあうことがよくあります。(さっきまでの出来事はいったい何だったのやら?と突っ込みたくなる日々です)
人間のように起こったことをいつまでも引きずってネチネチしないのも、個人的にいいなと思っています(^^;

そんなこんなで、群れづくりは1ヶ月ほど中断しましたが、4月中旬から再開し、様々なメンバー構成で屋外運動場での同居練習を重ねています。
以前のように、どのメンバー構成でも問題なく(あったとしてもケイが上手く事態を処理している!)過ごせているので、今度こそ全頭同居できる日はもうすぐでしょう!

チンパンジー飼育の大先輩である園長に、「群れづくりは3歩進んで2歩下がる」と話を聞いていました。
ヨシミが来園してから、大きな問題もなく割とトントン拍子に進んできたので、今回の出来事でこの言葉を改めて実感しました。
同時に、一度立ち止まってそれぞれの個体にこちらが配慮すべき点はなかったか?次回全頭同居に向けての進め方や注意点などを考えるきっかけになりました。



次回のブログでは良いお知らせが出来ることを願って…
やっと現実とブログの内容が一致したことで少しホッとしているチンパンジー担当:日髙

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